中距離の名手が叶えたかつての‘夢’ 日暮義一鳩舎

中距離の名手が叶えたかつての‘夢’ 日暮義一鳩舎
■日暮義一鳩舎(房総連合会・翔道三段)
 〒260-0813 千葉県千葉市中央区生実町2327-1 TEL:090-3095-6684

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国内最長レースであるGN。この一戦で総合優勝することは「より遠くから~」で進歩してきた日本人競翔家にとって、‘究極の夢’である。それをかつて本懐とした日暮義一氏(房総)は、今春、見事東日本稚内GNで総合優勝を果たす…が、現在の彼のベクトルはそれとは正反対――中距離のスペシャリストとして名を馳せていた。その道の最強鳩舎・エンゲルス氏の銘血コロニーを基礎に戦うその彼がなぜGNで総合優勝することができたのだろうか。そこには15年春シーズンに掲げた目標に関係していた。

鳩飼いとしての究極の夢を叶える

レース歴は47年に至る。約半世紀に渡り、ピジョンスポーツというホビーを満喫していた日暮義一氏(房総連合会)にとっての本懐は「東日本CH、東日本稚内GNでの総合優勝」であった。1972年の東日本CHの放鳩で知り合った40年来の鳩友・三村健一氏(埼玉連合会)といわゆる‘究極の夢’について夜通し語り合ったことは今の彼にとって青春時代の一コマだ。しかし1980年代に起きる中距離ブームの流れに乗っかり、狙いを400キロ~700キロにチェンジ。この距離感での鳩作りに没頭した結果、中距離のスペシャリストとしての地位を確立。13年に1羽のトリでRg、地区Nの2レースで総合優勝という離れ業を演出し、中距離エースピジョン賞の最高賞‘会長賞全国1位’をRg、地区Nダブル総合優勝という離れ業を演出したキセキのトリ‘アイアンレディ’で手にしたことは記憶に新しい。

そのスーパーバードにも流れるエンゲルスの基礎鳩‘デン31’の血脈こそ、日暮鳩舎の主力系統だ。この筋は本家において、オリンピアード代表鳩‘マリーチェ’や15年のリモージュN優勝鳩を生み、絶大な威力を発揮。日暮氏の下でもその切れ味は継承され、前述の‘アイアンレディ’然り、彼のエンゲルスコロニーは中距離レースにおいて総合優入賞鳩を幾度となく誕生させている。

くわえて、このエンゲルスコロニーの異血として強力な種鳩陣営を用意。それもフェルホールトの‘フィーネケ5000’、アルベルト・マルセリスの‘スプリント’、サブロンの‘フレディ’、コープマンの‘ゴールデンレディ’、レオ・ヘルマンスの‘デンオリンピアード’、マルセル・ヴォウターズの‘ド・レーウ’と今をときめくヨーロッパ中距離界の最強筋ばかりだ。今春、これら異血のみで構成されたイヤリングが、若鳩時から勇躍し、中距離3レース5%内入賞を条件とする‘シルバーエクセレントピジョン’の認定を受けている。相も変わらずハイレベルな中距離チャンピオンを量産していく一方で今年は関東三大長距離レースであり、国内最長のレースで輝きを放つ。

東日本稚内GN総合優勝――。ここにきてかつての、そして‘鳩飼いとしての究極の夢’を見事に叶えたのだ。

勝負をかけていたGN

彼のスタイル――中距離主体の戦力、飼育方法を知るものからしたらただただ驚きの一言だ。しかし当人的には決してフロックではなく、計算された勝利という認識の方が強い。なぜならば、今年の東日本稚内GNはそれ仕様の戦力、管理で臨んでいたからだ。日暮氏がここ数年連盟の最優秀鳩舎賞を‘逆転’で取りこぼしていた。さすがにその回数を重ねてくると悔しさがこみあげてくるもので、15年春シーズンは、オールラウンドに戦うことを決めていたという。

総合タイトルを狙う上で重要になってくるのは、彼にとってのウィークポイントである長距離。中距離からコンディションを挙げてしまえば、レース鳩の性質上、後半戦で息切れしてしまう。普段通りにRg、600キロ、地区Nの3レースではなく、今回はジャパンカップとGNにピークをもっていった。ゆえに抑え、抑えの調教し、本来なら中距離戦で行う管理を長距離前にもっていったというわけである。ちなみに当人が参考にしているベルギーの強豪・ゴメール鳩舎オリジナルの餌「チーズ+ピーナッツ」もそのタイミングでのみ使用したとのことだ。しかし「GNは血統」というフレーズがあるだけに、持ち駒が持ち駒では、いかに管理をそれ仕様に変えたとしても勝利を得ることは難しい。ゆえに戦力配分まで考え、桜花賞併催のジャパンカップには自身のスピードバード、東日本稚内GNにはかつて世界的銘血を駆使し同レースを席巻した‘あの’プリモロフトから渡されたトリを投入する。結果、前者では連盟シングル、後者は総合優勝を果たし、目標であった連盟最優秀鳩舎賞に輝いた。

そのナンバーワンポイントゲッターを挙げるとしたら、やはりGN総合優勝鳩だろう。前述のフレーズ――「GNは血統」の通り、然るべき銘血ばかりで形成されている。父親はファンデウェーゲン、カルトース系の2008年バルセロナ・ZLU優勝鳩の‘ド・バルセロナ’、母親は2005年プリモロフトが作翔し、かねてから宿願であった東日本稚内GN制覇を体現したあの ‘モーゼ’の孫鳩だ。‘モーセ’は、バルセロナのオランダ版エースピジョンである‘ゴールデンバルセロナダイフ賞’を受賞した‘サリナ’とサンバンサン、モンデマルサンでダブルNシングル入賞を果たした‘アイアンマン’というヨーロッパの超銘鳩同士で生み出され、その当時日本鳩レース界に衝撃を与えたことは記憶しているレースマンは多いだろう。しかも母方には1993年バルセロナIN2位の‘バルセロナⅡ’とサンバンサンN優勝、ダックスN2位の‘ベアトリックスカイパー’という超銘鳩の因子が重ねられている。ちなみにGN2番手にして総合21位に入賞したトリもプリモロフト作で父親が‘ド・バルセロナ’。この筋は昨年も東日本稚内GNで総合4位鳩を生み出しており、おそらく近いうちに日本国内でブレイクするかもしれない。

かくにも15年春シーズンは日暮氏の思惑通りになったが、一つだけ心残りがあるという。それは長距離に調整を合わせたもう1つの理由…。‘アイアンレディ’に続く超銘鳩――日本エースピジョン賞全国1位鳩を生み出せなかったことだ。

「桜花賞で総合シングルに入ったら、間違いなく日本エースピジョン賞を獲得できたであろうトリが3羽いましたが、1羽は換羽でストップ。残り2羽は帰ってきませんでした…。2年前に(日本エースピジョン賞の)座談会に出席させて以来、ずっと狙っていたんですけどね。やはり難しい(笑)」。

かつての夢は叶った。そして‘今’の夢である‘アイアンレディ’を超える超銘鳩作りでさえ、前述紹介した種鳩群のポテンシャルからしてもそう遠くはない未来に果たされるであろう。

日本鳩レース協会主催平成27年度東日本稚内GN総合優勝

シャーロット
14LB04934 B ♀ プリモロフト作 日暮義一鳩舎使翔
2015年東日本稚内GN2,553羽中総合優勝(実距離:1104.380K 分速:1485.947m *歴代2番目)

シャーロット

Father Grandfather
ド・バルセロナ号
NL04-2067753 BW P=デヨング作翔
08年バルセロナIN23708羽中5位 ZLU7,300羽中優勝
直仔/15年東日本稚内GN総合21位
孫/14年東日本稚内GN総合4位
ゾーン・ランメ
NL02-2075560 F.V.オプハイゼン&マレル作
ランメ(ダックスZLU8位)の直仔
兄弟/マルセイユIN♀の部優勝、イルンN11位、マルセイユN84位
Grandmother
NL02-2075652 F.V.オプハイゼン&マレル作
カルトース×テーレンラベーウ作
全兄弟/ペルピニャンIN17,653羽中2位
Mother Grandfather
06DA34614 B プリモロフト作 モーゼ
03LB34614 BCW プリモロフト作翔
05年東日本稚内GN3,572羽中総合優勝
アイアンマン(サンバンサンN2位 モンテマルサンN5位)×
サリナ(バルセロナZLU3位&ゴウデンバルセロナダイフ賞)
Grandmother
99MB00940 B 木島 寛鳩舎作
バルセロナⅡ(93年バルセロナIN2位)×
ベアトリックスカイパー(サンバンサンN優勝・ダックスN2位)

第1回会長賞全国1位

アイアンレディ
12LB01045 B ♀ 日暮義一鳩舎作翔
2013年
会長賞全国1位  シルバーエクセレントピジョン認定
春千葉Rg500K1,707羽中総合優勝 千葉地区N700K719羽中総合優勝
2012年
秋千葉Rg500K1,038羽中総合9位

アイアンレディ

Father Grandfather
ハリーファクス
B05-3123399 B ジュリアン・ファンネーノ作翔
ポワチェ優勝
全姉の直仔/ガンブリヌス(09年カオールN優勝)
モーレ
B96-3037094 B ファンネーノ作翔
1999年カオールN13,092羽中優勝
Grandmother
B00-3001605 ファンネーノ作
Mother Grandfather
09LB11967 BCW 日暮義一鳩舎作 デン620
BCW エンゲルス兄弟作翔
ド850(03年オリンピアード代表鳩・マリーケの叔父)の直仔
Grandmother
B02-6121579 エンゲルス作
基礎鳩デン31の孫

日暮鳩舎が誇るヨーロッパ中距離界最高銘血ブリーダー群

リヒテフレディ
B04-5226516 BC ♂ プロス・ローザン作
直仔/ファンタスト(ブールジュN11位)
B05-6045525 BC ♂ ヘルマン&クーテルス作
父)フレディ
  B94-4407032 世界的銘種鳩→
  アンティゴン(ジーケンの近親)の直仔
  孫/ラッキー77、ドラン 曾孫/ミス・マニワン
母)クライン・ズワルト B02-5065272
  ド・ナショナル(ブールジュN優勝)×
  ブールジュマン(ブールジュP優勝)の姉妹
父)デン・オリンピアード
  B01-6455003 02年オリンピアード代表鳩
  02年KBDB短距離ナショナルエースピジョン賞2位
母)B99-6060155
  リバウド(ドールダンP優勝、オルレアンP2位)の
                       全兄弟
NL06-5621630 B C&G・コープマン作翔
シャンティー13,008羽中25位
マーセイク19,913羽中142位
ボクステル25,147羽中269位
アラス10,512羽中123位
NL05-0514744 BCW
クーン・ミンデルホウト作
直仔/ムーランクール5,694羽中優勝
   ペロンヌ3,392羽中優勝 シメイ優勝他
全兄弟/ルフェックNPO2,560羽中優勝
    シャンティー3,392羽中優勝
父)ヨングスプリント
  B03-6383527 BC マルセリス作翔
  優勝5回 2位、4位、5位、6位2回、9位
  スプリント(03年オリンピアード代表鳩)×リタ
母)イ・ミン
  NL98-5821450 BC C&G・コープマン作翔
  ハッセルト2,668羽中5位×
  ジェンティル(オリンピアードオールラウンド部門2位)
  全兄弟/クライネン・ディルク、アンネリーズ
  直仔/アモーレ
父)NL00-0015784 ミンデルホウト作翔
  01年1歳鳩エースP賞2位
  バーニー(当日長距離Pエースピジョン賞1位)×
  ガビーファンデナベール&クレルモン730羽中優勝の祖母
母)B01-6380134 D&L・ファンダイク作
  カニバール×ランボーの異母兄弟
  直仔/ツールNPO8,011羽中3位
     ラステレーヌNPO2,899羽中6位他
ゾーンレーウ
B10-6251539 BW ♂ マルセル・ヴォウターズ作翔
直仔/461K1,132羽中19位
   305K1,782羽中5、6、8位
   153K2000羽以上中2位
   126K695羽中7位
B11-6332546 B
ヘルマンス&フクストラ・ヘルマンス
ファンデンブランデン作
直仔/千葉連盟Rg総合4位
父)ド・レーウ
  B03-6277418 BW M・ヴォウターズ作翔
  04年KBDB中距離ナショナルエースピジョン賞8位
  直仔/デン・アド
    (12年KBDB中距離ナショナルAP賞1位)
母)B08-6038962 B
  リンダ・ミッシェル・ヴァールストン作
父)クライネン・ヤーリング
  NL04-1098515
  ヤーリングドンダスティーン(カニバールの孫)×
  ヤンセン・ドイヴィン(ヤンセン兄弟作)
母)カウガール
  B09-6323201 B リック・ヘルマンス使翔
  ブールジュN24,676羽中優勝
  アルジャントンP優勝
  ヨーロピアンカップ中距離部門2位
  オリンピアード ベルギー代表鳩
  (フィネーケ5000の直仔×ド・レーウの兄弟)×
  マジックフロール(委託300K、500K優勝)全兄弟の娘