単羽飛翔を実現する伝説の銘血 阿左美和雄鳩舎

単羽飛翔を実現する伝説の銘血 阿左美和雄鳩舎

■阿左美和雄鳩舎 (群馬中央北連合会)
〒379-2314 群馬県みどり市笠懸町西鹿田431 Tel/Fax:0277-76-2897

阿左美和雄鳩舎

地球温暖化の影響で年々レースは厳しいものとなっている。過酷な環境の中、今「単羽飛翔能力」が密かに注目されてきている。西関東CH総合優勝、上武桜花賞総合優勝、そして東日本GN総合9位と長距離に目下強い阿左美和雄氏の代表種鳩‘コース(2001年ボルドーN優勝)’は、この「単羽飛翔能力」を紡ぐことのできる希少な存在だ。大元は、かの伝説の種鳩‘ローイ50’の父鳩‘393(別名スタムファーザー)’。オランダ最遠距離地帯に鳩舎を構えながら第1線で戦う・フェルテルマン父子の基礎鳩である。「単羽飛翔能力」を武器にN&INウィナーを創出。あまたの伝説を築き上げた銘系を探る。

単独飛行を可能にする血統・ローイ50の父‘393’

地球温暖化、地震などピジョンスポーツを取り巻く環境は年々厳しいものとなっている。競翔家にとって夢とロマンの象徴である1000K以上のレースにいたっては、帰ってくることさえ困難な上、レース自体不成立――全滅ということも頻繁に起きている。もはやそれはレースはレースでもサバイバルレースだ。ではこのような状況下で最も求められるもの能力は何か?それはたった1羽になったとしても最後まで飛びきる強いハートとタフネスを兼ね備えた特性――つまり単羽飛翔能力である。

しかしレース鳩をはじめ鳥類はグループで飛ぶことが本能とされており、抗うことは至難の業。自ら集団を抜けだす行為はしないし、もし猛禽類に襲われグループが崩壊してしまえば帰ること、いや飛ぶことさえもあきらめてしまうだろう。とはいえ、ごく稀ではあるが単独飛行を平然と行えるトリがいるのもまた事実。俗に言う「唯1羽帰り」で総合優勝したトリはその典型な例だ。

1000Kが帰らない時代、必要不可欠なこの能力を意図的に生み出せたとしたら、フライターにとって心強いことこの上ない。実はこの単羽飛翔能力を引き出せる血統が、わずかながら存在する。その1つがオランダ最遠距離地帯で戦うフェルテルマン父子の基礎鳩‘393(別名スタムファーザー)’の血だ。ヤン=テーレンの基礎鳩‘ファミューズ508’の流れを組み、直子の‘ローイ50’はリモージュN優勝鳩、ベルジュラックN優勝鳩、ボルドーIN優勝鳩、果てはバルセロナIN優勝鳩までも創出し、自身も1988年のサンバンサンN8位に入賞。「伝説的な」トリとしてあまりにも有名だ。

息子の方がネームバリューが強すぎるゆえ‘393’は知る人ぞ知る存在となっているが、紛れもなく彼の遺伝子こそが、強靭な肉体と1羽になっても最後まで飛びきる意志――単羽飛翔能力を生みだす原動力である。しかもそれだけではない。優れた方向判定能力という武器までも備えているのだ。最短ルートを導き出すそれは、体力の余計な消費の抑制というメリットもあり、とりわけ現在のようなレース環境下――高温の中でのフライトでは好材料になること間違いなし、である。単羽でもゴールに向けて合理的に、かつガムシャラに飛ぶ。この特性はオーバーナイト、夜間飛行にも反映されており、2位以下を大きく突き放して勝利した‘ペルピナンクィーン(2007年ペルピナンIN優勝) ’や‘ディルケ(2008年ペリギューIN優勝)’がその代表に挙げられよう。

​上武地区史上初の東日本GN総合シングル入賞

この単羽飛翔能力を紡ぐ者として日本で活躍する種鳩がいる。その名は‘コース(De koos)’。‘393’の孫鳩にして2001年のボルドーN優勝鳩。オランダ長距離界最強のヤン=テーレンが絶賛したととされるフェルテルマン父子の代表鳩だ。しかもそのトリは、‘393’と異なる血が流れているが、フェルテルマン自身が「必ず飛ぶ」と公言したメス‘エリス(マルセイユIN♀部門5位)’の直子でもあった。2006年にその‘エリス’と半兄弟‘マラトンマン(北部マラトン賞1位)’の血で西関東CH総合優勝という大きな成果を残した阿左美和雄氏は、同年夏に長距離ラインの強化を図るべくなんと‘コース’自身を導入。しかも、彼の為だけに1部屋まるまる用意するという特別待遇で、である。2009年春、導入から3年にしてその孫鳩が奇跡のスーパーフライトを遂げた。なんと東日本GNで総合9位に入賞したのである。阿左美氏が鳩舎を構える上武地区(群馬県 中央部から西部)は関東広域レースにおいて地理的ハンデが大きく、総合シングル入賞は不可能とされてきた。そしてそれが西関東ブロック連盟設立の一因になったのも有名な話である。阿左美氏は、このジンクスを東日本GNという大舞台で見事に打ち破ったのだ。

353

393(別名:スタムファーザー)
NL85-1064393 RC ヤン=テーレン作
フェルテルマン父子基礎鳩
直子 /ローイ50(1988年サンバンサンN8位入賞)
※あまたのN、INウィナーを生んだオランダ鳩界伝説的種鳩
孫以降/
・ブリンキーボーイ(1996年リモージュN優勝)
・コース(2001年ボルドーN優勝)
・ペルピナンクィーン(2007年ペルピナンIN優勝)
・ディッケ(2008年ペリギューIN優勝)
・バルセロナキム(2008年バルセロナIN優勝)
・ニコル(ボルドーIN優勝)
・ベルジュラックN優勝
・稚内スピードボーイ
(2009年東日本GN総合9位・上武連盟優勝)
・2010年度CH認定鳩
・2010年東日本CH総合9位・東坂東連盟優勝
・2012年あさひ地区N総合優勝
・2012年ジャパンカップ900K総合9位

未曾有の金字塔を打ち立てたヒーロー‘稚内スピードボーイ’は、Rg8位、地区N19位、GP11位と、好成績を収めてきたレーサー。がしかしその大半が集団で帰ってくるのではなく全く別のコース――本来なれば東から帰ってくるのが最短距離となる真北から唯1羽で飛んできていたのだ。むろんGNも然り! 紛れもなく‘393’のアイデンティティが発揮されていた。高温、逆風、帰還率3%という超難レースに打ち克ち、歴史的快挙を成した‘稚内スピードボーイ’とそしてその祖父 ‘コース’の名声は全国に響き渡ったのは言うまでもない。昨秋、今春も阿左美氏の下でこの銘血は勇躍し、伝説とまではいかないものの、今まで場所的に獲得不可能と言われてきたタイトル――2期連続連盟優秀鳩舎賞の受賞、かつ秋にいたっては連盟1位へと導いている。

‘コース’を筆頭としたフェルテルマンのラインはベースが長距離血統であるがゆえ、日本にしろヨーロッパにしろ、900Kから1200Kにかけて成果がでているようだ。配合式を追ってみると、レオ=コウタス、ハーゲンス兄弟、ニコ=フォルケンス、カス=ファンデグラーフ、ウィム=バックス、ファンデウェーゲン、そしてヤン=テーレンなど、もともとフェルテルマンが愛用するオランダ長距離界最強陣営の飛び筋とクロス――戻し交配で成功を収めているケースが多い。ちなみに阿左美氏の‘稚内スピードボーイ’はニコ=フォルケンスと‘マラトンレディ(西関東CH総合優勝)’はブラークハウスで割られており、また同じフェルテルマンの飛び筋で戦う北陸鳩界の第1人者・藤井孝彦氏もまたパートナーにオランダの銘血――ヤン・アールデンを採用。グランドスラム(4冠)を達成した超銘鳩‘CH.竜神号(北陸南連盟桜花賞総合優勝、総理大臣賞連盟1位、エースピジョン賞連盟1位、CH鳩認定・マラトンマンの孫)’や2010年にCH鳩に認定された‘CH.雷神号(コースの孫)’を作り出している。その他にある委託鳩舎では‘コース’のひ孫が秋の菊花賞、Rg連続優勝。2012年春もこの連続優勝の全兄弟が地区Nを制し、総合でもシングル入賞を果たすなど、この配合式は確実に成果を残している。とはいえオランダ血統以外でも純ヤンセンで割ったトリが東日本CHで総合9位(東坂東連盟優勝・コースの直系)に輝いており、まだまだ開発、発見はありそうだ。

果たしてフェルテルマン父子の基礎鳩‘393’は、‘ローイ50’という伝説を生み、今度は‘コース’というボルドーチャンピオンを経由して、阿左美氏に「レジェンド」をもたらした。時代が求める能力を秘めるこの金脈が、新たなる「伝説」を築く日は近い。

単羽飛翔能力を継承!2001年ボルドーN優勝

DE KOOS(コース)
NL00-1779408 BC ♂ フェルテルマン父子作翔
現・阿左美和雄鳩舎代表種鳩

2001年ボルドーN972K5,962羽中優勝(最遠距離地帯で)

孫/
稚内スピードボーイ(2009年東日本GN1000K総合9位・上武連盟優勝)※上武連盟史上初の総合シングル!!
愛鳩の友社CH.鳩認定1羽
2012年春あさひ地区N総合優勝
直系/
2010年東日本CH900K総合9位・東坂東連盟優勝


コース 2001年ボルドーN優勝

Father Grandfather
NL94-1184947 BC フェルテルマン父子作翔
マルセイユN4,307羽中63位、ボルドーN11,622羽中119位
393(別名:スタムファーザー)
NL85-1064393 ヤン=テーレン作 フェルテルマン父子基礎鳩
直子/オランダ鳩界伝説の種鳩ローイ50(1988年サンバンサンN8位)
Grandmother
バックス48
NL88-1582148 フェルテルマン父子作 ウィム=バックスの飛び筋
Mother Grandfather
エリス
NL97-1305896 BC フェルテルマン父子作
マルセイユN4,919羽中13位・♀部門1,892羽中5位
孫/マラトンレディ(2006年西関東CH900K総合優勝)
スーパークヴェーカー
NL87-9791851 ファンデウェーゲン作
直子/マラトンマン(ダックスN13位、北部マラトン賞1位)
孫/モントーバンN優勝
曾孫/CH.竜神号(2009年北陸南桜花賞1000K総合優勝他)
Grandmother
ヴォンデレクブークドイビン
NL95-9553999 レオ=コウタス作
直子/トゥーンチェ(2001年ベルジュラックN12,643羽中優勝)

上武に‘伝説’を築いた1羽

稚内スピードボーイ
08JA04916 BC ♂ 阿左美和雄作翔
2009年春
東日本稚内GN1000K総合9位(1000K地帯5位 上武連盟優勝)
孫/2011年秋上武連盟Rg400K総合2位

父)スーパー87
  06JA11287 DCW 阿左美和雄鳩舎作
  同系/ニコル(00年ボルドーIN優勝)
     ペルピナンクィーン(07年ペルピナンIN優勝)
  祖父)コース NL00-1779408 BC フェルテルマン父子作翔
     ボルドーN優勝 基礎鳩393の孫
  祖母)ペディ NL03-2256282 BC フェルテルマン父子作
     直子/マラトンレディ(06年西関東CH900K総合優勝)

母)スーパー100
  03HK10100 B 松島秀夫鳩舎作
  純ニコ=フォルケンス
  直子/スピードクィン(07年上武桜花賞900K総合優勝)
  孫/2009年400K優勝、700K優勝

阿左美和雄鳩舎2012年春の成績 
★関東地方部主催東日本CH900K136羽中上武連盟16位、26位
★上武連盟主催地区N700K555羽中総合5位、19位、28位、34位
★上武連盟主催Rg500K832羽中総合51位
★上武連盟主催アジア鳩協連盟会長賞400K936羽中総合5位(連合会優勝)、14位、22位、28位、35位
★上武連盟主催やよい賞300K1,376羽中総合8位(連合会優勝)、15位、38位、39位
★上武連盟主催スプリント200K
1,999羽中総合24位
★個人タイトル上武連盟優秀鳩舎賞2位