日本一のレーサーは創生期の銘血‘ハンセン’バード 岩倉安廣鳩舎
■岩倉安廣鳩舎(静岡吉田連合会)
〒421-0412 静岡県牧之原市坂部4456 Tel.090-2771-3179
1羽の鳩で500K、700K、1000Kのアベレージを競いあうことは、余りにもハードであるため、本場・ヨーロッパではありえないことだ。この事実だけでこの3レースを対象とする日本エースピジョン賞は、世界鳩界においてもいかに価値のあるタイトルであるか、伝わってくるだろう。まさに〝レース鳩としての極み〟である日本エースピジョン賞。その全国1位に輝いたのが、岩倉安廣鳩舎(静岡吉田)作翔の『岩岩(ガッツ)系ハンセーヌ340』だ。その愛称の通り、系源は創世記の銘血〝ハンセン〟である。自鳩舎において、ヤンセンとの邂逅でライン化が始まり、現在では遠距離地帯でありながら総合優勝鳩まで生み出すほどまでに強化。なお『岩岩系ハンセーヌ340』も中部3地区桜花賞で総合優勝に輝いている。13年の〝日本一のレース鳩〟は、エースピジョンの理想を地でいくこスーパーチャンピオンであった。
‘ターボハンセン’との邂逅
出会いというのは人の運命を大きく左右するものだ。静岡連盟において遠距離地帯に鳩舎を構えながら屈指の強豪として知られる岩倉安廣氏(静岡吉田)は、鳩レースに参加してまもなく1羽のトリと邂逅を果たす。
ターボハンセン――。
84年生まれのそれは、その名の通り系統はハンセンだ。レース界創生期の競翔家、アレキサンドル・ハンセン(ベルギー)が形成し、1960~70年代に日本でも一世風靡した銘血で、悪天候に強く長距離において抜群のスピードとスタミナ性を発揮するというのが特性。しかし1980年代に起きたヤンセン、ローセンスブーム――スピード化という潮流に抗うことができず、表舞台から消えていった系統の1つである。
とはいえ導入当時は、過去の遺物ではなく戦力として数えられていた。岩倉氏はこの〝ターボハンセン〟に同じハンセン系のトリをぶつけインブリード(近親交配)で戦っていたのだが、これが当たる、当たる。1989年の高松宮杯500キロ連盟8位を皮切りに総合シングル鳩がおもしろいように誕生! とりわけ短・中距離において力を示したようだ。遠距離地帯では、実力のみが問われる長距離でないと上位に入ることが難しいとされる。そのジンクスを打ち破った「岩倉鳩舎」の名が、瞬く間に連盟中に知れ渡ったのは言うまでもない。
90年代の中盤、殊勲の〝ターボヤンセン〟の老齢化に伴い、主力は近親で作られた直仔らに委ねられた。そこで岩倉氏はレーサーとして最適とされる〝F1(一大雑種)〟作りにメインを切り替える。そこで異血に選んだのは当時スピード系統の代名詞〝ヤンセン〟だった。
「ハンセン×ヤンセン」の配合式で誕生した「岩岩(ガッツ系)」
同タイプによる強化が目的だが、先述の通り〝ハンセン〟は長距離系に分類される。それは矛盾では? と疑問が浮かんでくるのだが、答えはいたってシンプル。自鳩舎での成功から岩倉氏は〝ハンセン〟をスピード系だと勘違いしていたのだ。だがこの誤解こそが〝ターボハンセン〟系に進化をもたらし、連盟の強豪としての地位確立、さらに地理的ハンデの強い同地区で〝ありえない壮挙〟を次々と巻き起こしていく
02年秋、「ターボハンセン×ヤンセン系」で自身初の総合優勝を200キロで体験すると、07年には一代落ちているものの同パターンで中距離の華・地区Nを制覇! 12年春の300キロではこの2羽同士の直仔――〝親子2代連続総合優勝〟という鳩飼いとしての夢を叶えた。そしてその極みが昨年である。この配合式に静岡鳩界唯一日本一に輝いた〝レジェンド〟大井昭義鳩舎の最強筋(系源はヤンセン)をクロスした1羽が、Rg、地区N共に1%内に入賞し、〝鳩なり〟で臨んだ中部3地区桜花賞では見事総合優勝! 抜群の総合力はあまたのエースピジョンタイトルをもたらし、会長賞連盟2位にシルバーエクセレントピジョン認定、ベルギー王立愛鳩家協会(KBDB)会長賞東部地区1位、さらには日本エースピジョン賞全国1位にまで選出される。
岩倉氏は〝ターボハンセン〟を「一大雑種を作るツール」としてしか見ていなかったが、今回の〝日本一のレース鳩〟誕生の流れ――代々の活躍鳩をひも解いていくと本懐はもちろん、代を落としても活躍する、飛び筋となっていたことに気づく。そこで岩倉氏はこれまでの実績から基礎鳩ラインを〝岩倉系〟もとい〝岩岩(ガッツ)系〟と命名。むろんその源鳩を担っていくのは、日本一のレース鳩〝岩岩系ハンセーヌ340〟だ。
奥住 豊鳩舎(埼玉中央連合会)の〝CHエースクイン号(2004年受賞)〟、及川 茂鳩舎の〝怪物シャンテリー号(2005年受賞)〟など同タイトル受賞鳩によるライン化に成功した例はあまたにある上、このトリは広域レースの1000キロを制しており、歴代の中でもトップクラスの翔歴を収めている。エースピジョンの理想を〝地〟でいく能力、そして遺伝能力の高さを証明する〝アイバンド〟もくっきり表出しており、成功は約束されているといって過言ではない。
1羽の種鳩との出会いから始まったサクセスストーリー――。〝ターボハンセン〟いや〝岩岩系〟と岩倉氏の物語はまだまだ続きそうだ。
平成25年度日本エースピジョン賞全国1位&中部ブロック3地区連盟合同桜花賞総合優勝
岩岩(ガッツ)系ハンセーヌ340
12PA06340 B ♀ 岩倉安廣鳩舎作翔
2013年
静岡Rg500K1,969羽中総合18位
静岡地区N600K1,385羽中総合13位
中部3地区桜花賞900K887羽中総合優勝
日本エースピジョン賞全国1位
ベルギー王立愛鳩家協会会長賞東部地区1位
シルバーエクセレントピジョン認定鳩
会長賞静岡連盟2位
Father | Grandfather |
07DA30091 BC 近藤直紀 作種鳩 | 05PA08663 BC 近藤 作 1000K後種 |
Grandmother | |
タイショウ川根 98PA12266 BC 大井昭義 作 近藤直紀 使翔 2001年総理大臣賞東部地区1位 孫/飴田稚内さくら号(北陸ブロックGN総合3位、13位、27位) |
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Mother | Grandfather |
03年ノーリング DC 岩倉安廣 作 直仔/長距離エースピジョン5位、総理大臣賞連盟5位 |
01PE03039 DC 神道幹康 作 直仔/優入賞多数 |
Grandmother | |
ハンセン75 95PA02275 BC 岩倉作翔 1000K総合25位他2回入賞 ヤンセン系×岩岩系源鳩ハンセン181(孫に07年静岡連盟地区N700K総合優勝、曾孫に12年春静岡連盟200K総合優勝/岩岩系基礎鳩・ターボハンセン×ターボハンセンの従兄弟) 同腹/総理大臣賞連盟6位 |
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岩岩(ガッツ)系基礎鳩‘ターボハンセン’
母) 母) 母)
岩岩(ガッツ)系基礎鳩‘ターボハンセン’直系の活躍鳩
2002年秋静岡200K総合優勝
02PA06176 B ♀ 岩倉安廣鳩舎作翔
2002年秋静岡200K総合優勝父)
97PA00443 BW 岩倉安廣鳩舎作
岩岩系基礎鳩・ターボハンセンの直仔
全兄弟/1989年高松宮杯500K総合8位
00PA06414 B 岩倉安廣鳩舎作翔
2001年春300K総合31位、800K総合26位
横地ヤンセン47の直仔×ヤンセン83号の娘
2007年春静岡地区N700K総合優勝
06PA07511 BC ♂ 岩倉安廣鳩舎作翔
2007年静岡地区N700K総合優勝父)
98PA12500 BC 岩倉安廣鳩舎作
019近親×ハンセン181(ターボハンセン近親)
03ZA70263 BW AAAロフト作
ボードワン×ド・プルトの娘
2012年春静岡200K総合優勝
11PA07142 B ♀ 岩倉安廣鳩舎作翔
2012年春静岡300K総合優勝
2011年秋静岡連盟エースピジョン賞3位父)
06PA07511 BC 岩倉安廣鳩舎作翔
2007年春静岡地区N700K総合優勝
ハンセン181(ターボハンセン近親)の孫
02PA06176 B 岩倉安廣鳩舎作翔
2002年秋静岡200K総合優勝
ターボハンセンの直仔×(ヤンセン47の直仔×ヤンセン83号の娘)
日本エースピジョン賞全国1位鳩‘岩岩系ハンセーヌ340’の直子を当サイトで特別分譲します。興味のある方は(info@popponet.com)までご連絡ください。